「ライ麦畑でつかまえて」J・Dサリンジャー(野崎孝=訳)

こんばんは。

プロ野球オールスターで大谷君が大活躍でしたね(^-^) ピッチャーとしても素晴らしいですが、打者としてもすごい!!当初「二刀流」は批判されることもありましが、結果をしっかり出して、多くの人に認められまでになるとは!野球ファンとして今後、どんな活躍をしてくれるのか楽しみでたまりません。

さて勝手に本の紹介No36です。

とあるブログで紹介されており手に取った一冊。青春小説として知名度が高いがどうなのだろうか。主人公にすごく感情移入するわけではないが、とても面白く読める。読後は不思議な気持ちになった。
【構成】
主人公のコールフィールドは高校を中退となり、家へ帰る途中にいろいろな場所へ立ち寄る。お酒を飲んだり、娼婦を買ったり、お世話になった先生に会ったり。良い人もいれば、インチキ野郎もいる。コールフィールドは相手を侮蔑し、虚勢を張っているが、その反面でとても純粋で家族思いな一面も見せる。そんな彼は…
【感想】
主人公の気持ちが半分理解できて、半分理解できない小説だった。けど、人の本質をよく突いていると思う。可愛がっている妹フィービーに「兄さんはなにになりたいの?」と聞かれる。その答えは「ライ麦畑で崖から落ちそうな子どもを助ける人」つまり大人と子どもの世界の境界を見張り人。大人の世界へ行けないコールフィールドの現状を良く示している。現実に不満を持ったり、ちょっとカッコをつかたりすることは誰だってある。しかし、主人公のように「理想は高いが具体的でない」「現実は不満だが、現実を変える行動はしない」「自分を有能と思い、価値観の合わない人を蔑む」となってはいけない。ただ、これらの感情を人は本質的に持っていると思うので、バランスが重要なんじゃないだろうか。バランスを取るということは大人になるってこと。プライドや自信ってとても大切だが、違った見方をすれば自意識過剰であったり、高慢であったりする。そのことを忘れないようにしたい。

「最後の職人」中原一歩

こんにちは。

さて早いもので2016年も半分終わっていまいましたね(^^;)本当に早い…

今年の最初に目標として「時間を大切にメリハリをつけて過ごす」ということを言っていたのですが、半年経ってそれをできているだろうか?いろいろと考えるところである。。。

され、本の紹介No35です!!

タイトルが気になって手に取った一冊。「てんぷら近藤」の店主近藤文夫を生き様を描いたノンフィクションである。高級な天ぷら専門店には行ったことはないが、本書を読んで、是非本物のてんぷらを食べてみたくなった。
【構成】
第1章では小説家池波正太郎との交流を中心に主人公の若かりし頃のことが書かれている。「山の上ホテル」で個性的な人たちに囲まれながら、料理人としての基礎を築いていき、苦労して独立を果たす。第2章では魚河岸(魚市場)での模様が書かれている。近藤の食材にかける情熱を垣間見えるだけでなく、東京近辺の魚事情がわかりとても面白い。第3章以降は野菜を中心に「江戸前てんぷら」に新しい食材を取り込むまでの話であり、それぞれの農作物の特徴を把握し、てんぷらにするまでの試行錯誤が繰り返されていることがわかる。
【感想】
職人近藤の料理(てんぷら)への飽くなき探求心と、お客様へ最高のものを出したいと思うプロ意識にはとても感銘を受けた。休みや寝る間を惜しんで料理の探求を続ける姿は「理想的だ」と思うが、自分自身に置き換えた時、そこまでできるのか疑問を感じた。そういう意味では、私は職人(プロ)向きではないのかもしれない。本当にこういう職人がいることを忘れずにいたいし、何かを極めるということは、覚悟と時間、労力を惜しんではいけないと改めて感じた。
また、魚市場の様子だけでなく、漁師や農家への取材からそれぞれの思いや状況を知ることができて素直に面白かった。それぞれのてんぷらがとても美味しそうで、食べてみたいという気持ちを強くする。玉蜀黍やさつまいものてんぷらが斬新で興味をそそる。

三浦半島城ケ島の地形・地質について

こんばんは。

今回は、私の趣味である地形・地質について紹介したいと思います。

行ったり、気になった場所を時々紹介がてら、勝手に所見を述べていいきます( ̄▽ ̄)

わかりやすく、正確にを心掛けますが、

解釈を間違っている箇所があれば、ご指摘いただければ幸いです。

第1回目は神奈川県の南東部に位置する三浦半島城ケ島についてです!

城ケ島は首都圏からアクセスもよく、露頭(岩が見えるところ)も多いため、人気の地質観察スポットです。城ケ島で見られる特徴的な構造を少し紹介します。

○地質全般について

三浦半島は北米プレートの上にあり、4つのプレートが接触する地点に近くに位置する。城ヶ島の地層は、新第三紀中新世の三崎層と初声層であり、地質はスコリア質砂岩や凝灰岩からなる。

断層構造

断層構造と聞くと、地震を起こす活断層を思い浮かべる人が多いが、小さな断層(地層が切れている状態)はいろんな場所で見ることができる。

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○級化構造

普通の海底では大きな粒子のものが早く堆積するので、1つの層の中で下部は粗粒、上部は細粒といった構造となる。その堆積構造によって地層自体の上下を判断することができる。

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○地層の模様

・火炎構造は、加重痕とも言い、上にのる地層の過重によって下層が沈みこむことによって形成される。

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リップルマークは、水の流れによって形成される層上面の構造である。地層の上下関係を把握する時に目安となる。

・生物痕は、生物の活動によって地層にできた微小地形である。生物活動によって出来た穴などに上層の地層が堆積して形成される。堆積した地質によって侵食速度が違うため、生物痕のみが見られることもある。

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○褶曲構造

褶曲とは層状の岩石の波状変形のことであるであり、一連の地層がときれずに繋がったまま曲がっている地質構造である。上層が閉じていく状態の褶曲(山型)を背斜,下側に閉じていく状態の褶曲(谷型)を向斜という。

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○デュープレックス構造

デュープレックス構造は、地層が力を受け逆断層が重なり合って瓦のような構造になったものである。デュープレックス構造の成因としては、付加体がプレートに付くときに力が作用して出来る場合や、海底地すべりによって出来たと考えられている。

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もし三浦半島城ケ島へ行く機会があれば、観察してみてください!

イギリスとEU&「白ゆき姫殺人事件」湊かなえ

こんばんは。

イギリスでEU離脱残留かの国民投票が行われますね。私はこの問題やEUの事情に詳しいわけではありませんが、国家という枠組みを超えて一つの共同体を作るという試みは、将来のあるべき姿(世界)を考えるうえでとても大切なことだと思っている。このような取り組みの最先端がEUなので、この問題もどうとか乗り越えて一つ上のステップへ行ってもらいたい。

また、この国民投票に関して気になることがある。それは年代別で意見が大きく割れていることだ。若者はもっと投票に行かなければならない(意見を言わないといけない)と思う。多くのおじいさんやおじさんは数十年後の未来のことなんで考えていないので。(もちろん、次世代のことを考えて行動・発言をしている年配者の方もおられますが。)

www.tokyo-np.co.jp

 

 

さて、ちょっと最近思ったことを書きましたが、いつもどうり勝手に本の紹介をしたいと思います。

古本屋で見つけて手に取った一冊。前回の「テルマエ・ロマエ」に続き映画化された本ですね(^^;)
【あらすじ】
化粧品メーカーの美人OLが殺害される。憶測が飛び交う中、容疑者として同僚の女性がクローズアップされる。週刊誌のフリー記者が関係者に取材をするという形で、物語は進んでいく。それぞれの立場からの証言、週刊誌の話題性を重視した編集、ネット上での好奇心・勝手な推測…いろんなものが入り交じり、容疑者像を作っていく。ネットを使うことでなんでも情報が入る時代。それを鵜呑みにしまい、その情報に少し尾びれを付けて新しい情報として発信していまう人々。そうすることで情報は事実とはかけ離れていく。。。はたして犯人は誰なのだろうか?
【感想】
それぞれの登場人物の視点で物語が進んでいく小説は時々ある。以前によんだ著者の作品も同じような形式だった気が…まぁ人は自分主体で物事を考える(発言する)ので、1つの事象でも、いろんな意見が出てくるのが面白いところであり、この作品でもその表現が上手いと思った。
推理小説としてはストーリーとかは普通かな。読みやすい作品ではあるので、もし暇なら読んでみてください。

 

「テルマエ・ロマエ」ヤマザキマリ

こんばんわ。この頃、ちょっと暑くなってきましたね。今ぐらいの季節はちょうど良いですが、これから梅雨を抜け、夏が到来します。走るには暑く、寝苦しい時期ですが、夏にしかない楽しみもあるので、ボチボチ楽しんでいきたいと思います。

さて勝手に本の紹介No33です。今回は漫画なのですが、簡便してください。笑

勧められて手に取った一冊。阿部寛主演で映画化されていましたよね♪作者の目の付けどころが面白く、あっという間に読破してしまった。私も温泉が好きなので、共感するところも多く、またローマの歴史についても少し詳しくなれるので、興味のある方は是非!
【あらすじ】
紀元前の古代ローマの話。風呂の設計技師であるルシウスはひょんなことから現代の日本へタイムスリップしてしまう。日本の風呂技術の高さに戸惑うものの、ルシウスはその一部を古代ローマへ持ち帰り風呂文化が開化するのを助ける。その後も、現代日本と古代ローマを行き来し、皇帝専属の風呂技師として、ローマの風呂の発展に大きに貢献していく。そんな中、タイムスリップして伊藤温泉(たぶん架空)で小達さつきと出会い・・・
【感想】
現代では当たり前の科学技術も、知らない古代の人が見たらとても驚くだろう。そのシリウスの反応が新鮮だった。そしてその素朴な感動に温泉やお風呂のよさを再確認させられる。個人的にはヴェスビオスの話が好きで、温泉街の情緒や何気ない品物が多く登場している。また、漫画の途中にある作者のコラムは、入浴のことを中心に、日本と海外や古代ローマとの比較が書かれており、漫画同様に興味深く読める。

「人生と仕事を変えた57の言葉」NHKプロフェッショナル制作班

こんばんは。

オバマ大統領が広島平和公園を訪れたニュースが流れていますね。多忙につき滞在時間は短く、スピーチでも具体的な核兵器縮小の話は無かったようですが、この1歩が核兵器縮小へ繋がることを願っている。ただ、被爆国日本のすることは声高らかに核兵器廃絶を訴えることではないと思う。理想論を叫んでも現実は変わらない。本当にアメリカとロシアがすべての核兵器を廃絶したら、世界の秩序はどうなるのだろうか?偉そうなことを言って申し訳ないが、日本がしなければならないことは、その先を見据えた行動ではないだろうか。。。

さて勝手に本の紹介No32です!

アマゾンで見つけて手に取った一冊。この本は、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に登場した人たちを支えている「言葉」を集めた著書である。
【構成】
各章ごとにタイトルがあり「勇気をくれた言葉」「ものの見方を変えた言葉」「信念をくれた言葉」「壁にぶちあたった時に支えてくれた言葉」「仕事で胸に刻む言葉」に分けて紹介されている。それぞれの言葉が、数ページのエピソードとともに紹介されている。
【感想】
それぞれのプロフェッショナルについて少ししかページが割かれていないので、この本では、その人の技術や人間性・考え方を知ることはできない。(まぁそういうことを目的に書かれていないからなんだけど…)全体的に深く共鳴することは無かったが、気になった言葉を紹介したい。
・「求めていなければ、授からない」(UNHCR職員、高嶋由美子氏)
華道家勅使河原蒼風の言葉で、本当はもう少し長い。意味は「どんな時も向上心を持って取り組まなければらない」ということ。とても大切な言葉だと思った。自分の進んでいる道が正しいのかはわからないが、進むのをやめてしまえば、ただのサラリーマンになってしまう。自分らしさを表現する(付加価値を付ける)ためには進むしかない。
・「型破りな演技は、型を知らずにできない。型を知らずにするのは、型なしというのだ」(歌舞伎役者、坂東玉三郎
これは忘れがちだけど大切なこと。現代においては時代の変化が激しく、「常識にとらわれない」ことが大切だという考え方もある。だが、常識を知らなけれれば「常識にとらわれない」ことは出来ない。一部の才能ある人は別として、普通の人が何かを極めるためには、地道に基本を学ばなればならない。時間は貴重だが、大きな基礎をつくり、その上に新しいものを作っていきたい。

「本当の戦争の話をしよう‐世界の対立を仕切る‐」伊勢崎賢治

こんにちは。

今日は安全保障や国際協力に関する本を紹介します。トランプ氏の発言や、沖縄での事件などアメリカ軍の問題がクローズアップされています。

そんな近況を踏まえて勝手に本の紹介No31です。

人に勧められて手に取った一冊。国際NGO国連の職員として、いくつもの戦争(紛争)へ携わった著者が「リアル」な戦争について高校生へ講義した内容をまとめたもの。内容が難しく、自分なりに上手くまとめられない(^^;)ただ、普段のニュースではなかなか知ることのできない話が多く、世界平和から日本の自衛隊の話(9条の話)、日本の国際協力の在り方まで幅広い話題を扱っている。考えさせられることが多いので、機会があれば一読してもらいたい。
【構成】
著者と高校生との対話形式となっている。最初に日本を取り巻く環境について。
第1章は「もしもビンラディンが新宿歌舞伎町で殺害されたら」という題目で、「国の主権」や「テロリストの人権」について書かれている。
第2章は「戦争はすべて、セキュリタイゼーションで起こる」という題目で、戦争がつくられていく(国民の支える民意をつくる)過程でのセキュリタイゼーションと脱セキュリタイゼーションについて述べられている。(セキュリタイゼーションとは安全保障における「攻撃してくる主体」「それによる犠牲」「国民の承認」これらが結ぶつく一連のプロセス」
第3章は「もしも自衛隊が海外で民間人を殺してしまったら」という題目で、国連の内情や自衛隊の在り方が議論されます。
第4章は「戦争が終わっても」という題目で、戦争後に国が復興していく難しさについて書かれている。
第5章は「対立を仕切る」という題目で、今後日本の国際協力の在り方と、変化する国際情勢について記載されている。
また、イラクパキスタン等を含む中東)、東ティモールシエラレオネスリランカカシミール〈インド)などの現場の話が随時紹介されている。

【感想】
この本を読むと、戦争や安全保障を取り巻く環境の多様性を感じずにはいられない。たくさんの利害関係者(国であり、大企業であり、地元の地権者など)が、立場や状況によって意見を変え、人々を翻弄して行く。誰もが納得する正解は無い中、どこが終着点なのか?本当に世界は平和を求めているのだろうか?(世界が本当に平和になったら、軍人は失業し、軍事産業は成り立たない)「日本で自爆テロが起こる」などはいつ起きてもおかしくない。平和な日本に暮らしていると、戦争は非日常のような話だが、常にそのリスクと隣合わせであることを自覚したい。
本書を読む中で気になった部分として、イラクのアダム・フセインの銅像が倒される話。TVで見ていると盛大にイラク国民が喜んでいるみたいだが、実際には倒れた銅像周辺の一部の人々しか喜んでおらず、どういう角度で報道されるかによって物事は見方が変わる。言われると当たり前だが、日ごろから意識しておきたい。また、「戦争の嘘(アーサー・ポンソンビ-著)」という本から紹介されている戦争のプロパガンダはとても興味深い。