「土の文明史」デイビット・モントゴメリー(片岡夏実訳)

こんばんは.週末はさえない天気でしたね(´・ω・`)涼しいのは有り難いですが,月曜にもまた台風がやってくるとか…8月ですでに4つ目になりそうです.このままだと2004年の10個を超えるかもしれませんね.被害&災害が少なくありますように!

さて勝手に本の紹介No40です.

読んでみたいと思っていて手に取った一冊。人間の文明と土(特に土壌)の関係に焦点を当てて,歴史を紐解いている.後半の現代は面白いが,前半の古代は冗長な印象があった.
【構成】
第1,2章では,土に関わる一般的なことが書かれている.第3章から文明と土の関係が述べられており,四大文明(第3章)からギリシャ(第4章),中世ヨーロッパ(第5章),アメリカ(第6,7章)の順となっている.人口増加により耕作地を増やすことで,土の浸食起こり,耕作地が消耗する.このサイクルが歴史上何度も起こっていることがわかる.また,その対処法は,それぞれの置かれた状況によって違い,文明の運命を変わってくる.
第8章は近代の農業技術について,第9章はマンガイア島とティコビア島という環境のよく似た2つの島の歴史を比較し,その運命を分けたものは何かを推定している.第10章は今後の世界のあるべき姿を示すとともに,人口の増加による農地拡大が土の消耗を速めていることに警鐘を鳴らしている.
【感想】
土は消耗品であり,長い時間をかけて自然が作り出した物を,今の文明は急速なスピードで消耗している.これは事実だと思う.だが,世界の人口は増加し,資本主義社会で利益を出すためには,集約的な農業(土を疲弊させる)を行わざるおえない.この本は,問題定義はされているが,具体的な解決方法は書かれていない.もちろんそんな簡単に答えがでる問題ではないと思う.土に関わらず,森林,水,動物などの自然環境をどのように守るのか?利益と相反する部分は,世界の課題だと思う.